にこらのブログ(カメラ修理館)

クラシックカメラを修理、収集している学生のブログです。

ニッカIII-Sの幕交換と余談

 

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Nikkor-H.C 5cm F2.0が欲しくて某オークションにて入札したら落ちてしまった...否、予算オーバーで落としてしまったニッカIII-SとNikkor-H.C 5cm F2.0

 

レンズが思いの外状態が良かったもので本体はおまけみたいなもの...なのかな。

 

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Nikkor-H.C 5cm F2.0は初めて光線追跡ソフトに入れたことで思い入れ深いレンズです。

最初期Nikkor-H.C 5cm F2.0付きニコンI型?買えるかっ笑

 

 

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レンズ目当ての方はボディなんて目もくれそうにないですが、私の場合はボディの方、というより整備の方が楽しいのでやっていきましょ。

 

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まぁ、約70年前のカメラということもあってゴム面が溶け出し癒着してるのは言うまでもありませんね。

そういや、ニッカ5型のプレス・リリースでは耐寒耐熱の独自開発シャッターが採用されたとの旨の記述を見かけましたが私のニッカ5型は当時物と思われる両面絹幕が正常に作動しています。いただきものなので整備に出されたのかもしれませんが。

 

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マウントを外すとワッシャの量がえげつない

こんなんでフランジバック合っているのかしら、組み立てた後に測定してみます。

 

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キヤノンも同様に板金タイプのライカを基本にしておりますが、遮光板はついていませんね。幕交換するのに手間が増えるので本家ライカも含めあんま好きじゃない...

 

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幕交換ついででなければスプリングドラムとシャッタードラムの油交換はできないのでサクッと分解

ちなみに瞬間接着剤はシャッター幕制作でリボン縫い付けのときに使いました

 

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シャッタードラム。ここの掃除と油交換でだいぶ変わる気がします。

ここと底部アイドルギアを手を抜いた私のキヤノンIII、鳴きが10回に1回ほどたまに出る上に1/1000が不安定になるというね...早くやり直せよ自分

 

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70年間お疲れさまでした。

 

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採寸して切り出し。

両面絹幕が素人にはどうしても手に入らないのでライカ同様ゴム張り片面絹幕です。

 

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シャッター幕制作後、接着剤硬化待ちの時間でスローガバナに手をつけます。

思いきし真鍮製ですね。メッキくらいしてよ...

アンクルは鉄製のようですが、あんまりだなあ...

 

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ワンウェイクラッチタイプの一般的なもの。

ワンウェイクラッチタイプはコマの清掃をしないとダメなようで…これまた以前手を抜いて痛い目に合いました。

 

各部品を超音波洗浄後組み立て注油

 

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シャッター幕が出来上がる前に本体側の組み立て。

ちなみにこの後巻き上げ側のグリスアップもしました。

 

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出来上がったシャッター幕を組み込み(これがいちばん大変なんですが)

此処から先はぽんぽん組み付けていくのみ。

 

いや、シャッターテンション調整も間にあります。

感触優先してあんま目盛り値には近づけませんでした。あえて、いや下手なだけ。

 

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基本的にライカIIIのコピーのようですが、追加で先幕掛かり留めレバーの周辺にシンクロ装置が追加されています。シンクロ装置はここだけで完結されています。すごい。

 

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イカと同じ貼り付け方してます。

 

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そして組み上げてはじめの写真に戻るという

あれだけわけわからんほどのワッシャが挟まってたマウント面は、ワッシャ含めもとに戻すとフランジバック実測28.79mm。ほんとにいいんだな、これで?

 

バルナックタイプの場合、裏蓋が開かないのでガラス定盤にマウント部を押し付ける測定法ができないため測定の精度が出てるとも言えないんですよね…非常に気がかり。

 

 これはライカ!!!(うそニッカ

 

 そうそう、こんな逸話もありまして。

 

概要はツイートで完結しているんですけど、今回のニッカの出来をみると本当に完成度が高くライカに遜色ない使用感どころか感触の面まで配慮されており意外とやるなーといった感想を持ちました。

 

カメラレビュー誌2号(昭和53年 朝日ソノラマ社)にニッポンカメラ創成期とその周辺について特集記事が載っていましたがニッポンカメラが誕生するまでの経緯は実に面白いですね。

ニッポンカメラ創設者の熊谷源二氏はキヤノン黎明期の3人(内田氏、前田氏、熊谷氏)として有名ですが、年々精機光学の生産の重点が軍用兵器に移るに従い好きなカメラ弄りができなくなり不満を持ち精機光学を辞め高級カメラの修理業を始めたそうな。

 

そこに折からの戦況悪化で軍人、報道班員の使うライカが入手困難になったためにパテント無視でコピーライカを作れという命令でDIIIそっくりのコピーライカを製作、供給。

 

そして終戦、敗戦国であるドイツのパテントが無効となりライツの特許が自由に使えるようになった。パテント無視のコピーライカ、ニッポンカメラの面目躍如、契約がまとまりアメリカへの輸出スタートと。その際に名称が「ニッポン」では色々とまずかったために縮めて「ニッカ」に名称変更。

 

 

キヤノンも1940年に板橋の双眼鏡メーカーであった大和光学を国策で合併させられ、戦後日本光学との関係悪化(それこそ冒頭のNikkor-H.C 5cm f/2.0が関係しているわけですが)後、戦時中軍需品生産、X線撮影レンズの製作と写真用レンズ試作の甲斐もあり自社ですぐセレナーレンズを供給できるようになったわけでどれもこれも戦争という名の怪我の功名というやつですなあ、と思うわけです。

 

そういえば、ニッカにニッコールが供給されるようになったきっかけとはなんでしょうね。熊谷氏が旧精機光学出身とのことから日本光学との繋がりがあったのか、とも考えられますがニッポンカメラは五条光機製クセベックがついてますからね。なぜ、戦後になって日本光学から供給を受けられたのか不思議でなりません。

 

もし、日本光学がニッカカメラにニッコールを供給しなかったら。

 

それこそダグラス・D・ダンカン氏のニッコールP.C 8.5cm f/2.0との出会いはなく、ニッコール、並びにニコンの世界進出はそう上手くいかなかったとも考えられるんですよね。

 

ちなみにダグラス・D・ダンカン氏は日本光学への工場見学への予定変更前、当初キヤノンカメラの工場に見学へ行く予定だったそうですからセレナー85mm f/1.9に目をつけセレナー135mm f/4.0とセレナー50mm f/1.9がLIFE誌を飾ったかもしれないのです...まあ歴史にIfは禁物ですね。

 

やはり嘘か誠かの余談の方が長くなりました。

ちなみに密かに?世界の中古カメラ市にてかのダンカン氏のニッコールP.C 8.5cm f/2.0は入手しているのでそのうち試写も出していきますわ。ついでにニッコール13.5cm f/4.0と5cm f/1.5がほしい...

コニカ1型(F2.8)の分解修理と余談

数年前、Twitterで親交のある方よりコニカ1型をお譲りいただいたのがコニカ1型との初めての出会いでした。

 

あれは結局修理し作動する状態にはしたもののお世辞にも戦後すぐの品ということもあり玉の状態が良くなく結局試写はせずお蔵入りに。

 

それから2年後のハードオフへの初詣でコニカ1型の派手なジャンクを買ったり前玉無しのジャンクを買ったり...とジャンクを買いまくったもののレンズの玉の状態が良いものに出会えなかったわけですよ。

 

なぜこのカメラに執着するかというと...

まず第一にボディが戦時設計のX線撮影用カメラRubikonがベースになっており独特で興味が惹かれるということのほかに、コニカ1型2.8付きは3群5枚のヘリアー型レンズが採用されているということ。そして小西六の戦後初の新機種であるということ。

 

ですかね。

 

https://w.atwiki.jp/konica/pages/16.html

 

私の敬畏する森羅 誠氏の書かれたコニカ1型の解説Wiki

 

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今回こそは...と入手した1型

 

Made in Japan表記の最終に近いコニカ1型...らしい

 

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肝心のレンズは...擦り傷に見え一瞬ダメかと思ったんですけど一群と二軍の間のカビのみで上々!

 

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そうと決まればサクッと分解

ちなシャッターは初め全く作動しませんでした。

材質が良いのでなんとかなるでしょうと。

 

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スローガバナ等の部品を分解しベンジン超音波洗浄

 

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羽を清掃した後、注油しつつ組み立て

 

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まぁ、ありでは。

 

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綺麗なシャッター。

オキュパイドジャパン時代のコニラピッドはもうちょい精度が低く重かった覚えがありますが、この頃になると国産最高級のセイコーシャラピッドと同等に軽やかに作動しますね。1/500が重いのはコンパーラピッドコピーの欠点ですな...

 

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お次はヘリコイド。

エルマーのようにマイナスネジだけで無限遠、最短が規制されているタイプなので非常に簡単に分解できますね。

直進ヘリコイドは面倒すぎて...

 

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洗浄後ヘリコイドグリスを交換し組み込み...

 

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お次は距離計部分。

最近ハーフミラー切り出しができるようになったので状態が悪ければ交換しようと思っていたのですが、予想以上、てか相当状態がよかったのでそのままです。

 

コニカ独自のレンズ移動式の凹メニスカスレンズ移動型の距離計ですね。

III型まで見ることができるそうです。

 

ノブ巻き上げの35mm距離計連動カメラとなると途端にライカコピーライカコピー叫ぶ方がおりますが、もう既に1938年の段階で一眼式距離計が特許申請がされているわけで全く独創的なカメラなんでしょうね。

 

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ニコンカメラ創世期の苦労話である「明るい暗箱」を読んだことがある方は知っていると思いますが、日本光学終戦直後の民需品転換の頃35mmレンズ交換式カメラの前に当時流行りの二眼レフを作ろうと模索した時期がありました。

 

まあ、日本光学が出すのですから最高の性能でなければ、と1/500搭載コンパーラピッド系のシャッターを探すのですが...まだかのセイコーシャラピッドも登場しておらず

国内では生産できる設備がなかったそうです。

 

そこで日本光学が機器を貸与し複数のメーカーに作らせようとしたものの、実用になる品はできず結局二眼レフはボツに。

今思うと東京光学のように日本光測器製プロンタータイプシャッター付きの廉価機種でもよかったんじゃないかと思うんですけどそこは日本光学のプライド?が許さなかったんでしょうね。

 

ちなみにキヤノン(精機光学)も戦後の事業拡大時にスプリングカメラ二眼レフを試作したことがありました。しかし当時社長の御手洗毅氏の「高級35mmカメラに集中すべき」という強い意志によって破談に。キヤノンの経営が強い根幹である選択と集中の基礎ですなあ。

 

そんなコンパーラピッド型シャッターが作れなかった当時に小西六独自にコンパーラピッド型シャッターを作って初の民生用35mmカメラに付けてしまう技術力の高さはさすがだと思うんです。

 

初期のKONIRAPIDはたしか本家同様レリーズでバルブならびにタイムが開閉するタイプだった気がします。ちょっと違うんですけど。

国内でコンパーラピッド型を製造できるのが小西六くらいしかなかったからかかのヤルーフレックスに搭載されたのもコニラピッドでしたね。

 

 

ちなみに詳しいお方にツッコミされるとアレなのでセイコーシャラピッドについて追記しておくと、精工舎は戦中の1941年には精工舎に在籍していた中川氏が中心となり00番のラピッドセイコーの試作品2ダースを既に製作していたものの軍需品の生産が中心となる中で生産中止とされたそうな。

 

それが戦後20年12月(戦後初のニッコールNikkor-Q.C 5cm F3.5もその頃だったはず)に生産再開をしていたらしいです。

終戦直後のセイコーシャラピッドの搭載機といえばMAMIYA SIX III等ですけど、戦後すぐの頃はカメラ生産イコール外貨獲得でしたので27年頃までマミヤは国内には少数しか回ってこなかったらしいですね。

 

マミヤシックスが独創的で品質も高く人気があったのは言うまでもないですが、そのほとんどにセイコーシャラピッドが搭載されていたと思うと他メーカーに回ってこなかったのは想像に難くありません。

 

そんなこんなでラピッドタイプシャッターを搭載したコニカはすごいなーというお話でした。(どっちが本題かわからねえな)

ちなみに僕の腕時計がセイコーばかりなのはセイコーシャラピッドへの憧れからです。

レオタックスT2の試写

レンジファインダーカメラではキヤノンをメインに使用している僕ですが、他のメーカーのイミテーションライカ(コピーというのもフェイクというのも不適当であるという思い)もふと気になってきたのです。

 

50年代のアサヒカメラを読んでいると他の国産イミテーションライカの大御所ニッカやメルコン、そしてレオタックス等の広告が頻繁に登場します。

 

その頃の日本のイミテーションライカは戦後すぐの板金ライカ(III IIIa IIIb)の模倣の時代から抜け出しようやくライカIIIcに倣いダイカストシャシーを使用し始めた頃です。

ときすでにライカM3が発売されていたものの、そもそも価格帯が違うためノープロブレム。そんな時代がなべ底不況の頃まで続いていました。

 

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今回入手したレオタックスT2です。

 

1958年2月発売、レオタックス高級機Fの廉価版Tにセルフタイマーを追加したTVからセルフタイマーを取り除いた機種とのこと。

ややこしいですが、レオタックスTの直接の後継としてしまうとファインダー等の仕様、トップカバーの意匠が異なり辻褄が合わないためでしょうね。

B、1s~1/500sまでの廉価機となります。

 

運良くオーバーホール済みを入手しましたが、異様に巻き上げが軽くスプリングドラムのリボンが切れているかと錯覚したほど。

イカIIIfに匹敵するほどの巻き上げの軽さと感触です。

 

そして触って感動した点というのが重量バランスと大きさのとても良いこと。

 

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左が本家のライカ、右がレオタックス

レオタックスのほうが微妙に大きいんですよね。

 

しかしそれがうまい具合によく働いているようで人差し指が自然とレリーズボタンに来る。大口径レンズ(F2.0クラスだけどw)を装着しても重心が後ろにあり非常に安定した感触。

 

人間って不思議なもんですね。

 

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ブライトフレームが付き、シンクロ自動切り替えがついている所を見るとほぼ全てライカIIIgみたいなものですね。そういやIIIgも一回り大きくなったという話をどこかで目にしたんだけど...アルバダ式なのでコピーじゃないようです。

 

さて試写。Fomapan200にて。

トプコールレンズもフジノンレンズも所有していないのでキヤノンのセレナー50mm F1.9で撮影。

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ご老人がうふふきゃっきゃ眺めていたのは鴨でした。

 

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不思議と使いやすいカメラなんですよねえ。

 

気が向いたら使っていこうと思います(コラ

 

では

ゾナー型のWalz Envoy 35

 

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なにげにゾナー型のレンズは初めて入手する気がします。

いや、Nikon L35AFなんかもありますが、二群目が3枚貼り合わさっている古典的なゾナータイプではありませんしね。

 

1950年代のレンジファインダーでメインにしているキヤノンゾナータイプのレンズを苦手?としているのもあるかもしれません。

1947年、キヤノンNikkor 5cm F2の供給問題で日本光学と関係悪化の末独自に製作したSerenar 50mm F2は4群6枚のダブルガウスタイプでした。

 

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Nikkor 5cm F2

ちなみに件のNikkor 5cm F2はご覧の通りゾナータイプでした。

 

その後、立て続けにSerenar 50mm F1.9、Serenar 50mm F1.8等を発売しますがどれもダブルガウスタイプ、そのまま一眼レフ時代へ突入......

ここまで書いていてSerenar 50mm F1.5がゾナータイプであることを思い出しましたが未入手なんでねえ......

 

ゾナータイプを使ってみたいなんていう軽い気持ちで本家のゾナーを買うのは失礼な気が?(???

というわけで先日のブログ記事

nikora060.hatenablog.com

国産普及LSカメラの中でその構成を探してみようと。

しかし、国産普及LSカメラがF2.0の大口径レンズを採用し始めたのは1955年のアイレス35-IIIがCoral 45mm F2.0を搭載してから。

1955年ともなると普及機にもコーテッドレンズが使われることが当たり前になっておりましたので空気面は多いものの設計の自由度の高いダブルガウスタイプのレンズが搭載されていました。

続いて発売されたオリンパス35S 1.9も然り。

 

一部構成図も構成も見れていないレンズを除けばほぼ全てそう。

 

レンズシャッターカメラの場合は00番シャッターを使わねばならないという障害がたちはだかっていた訳でアイレス35-IIIを制作する際も障壁となったそうですから、そこも影響しているのかもしれません。もうちょっと勉強しないといけませんね。

 

しかし、表にある中で唯一ゾナータイプと思われる3群7枚S.Kominar 4.8cm F1.9を搭載しているWalz Envoy 35が目につく。

ほほん、これは面白いじゃないの。

 

同系列の35SIII等も搭載してるそうですけど、特に目についたのはこれ。

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ええ、ボディにレンズ構成図...www

ちょっと引きましたが、6枚玉のダブルガウスが多い中、7枚のゾナータイプは誇れるものだったんでしょうね。

一時期流行したライトバリュー式である他は至って普通な?レンズシャッターカメラで、特筆するようなとこもない普及機です。

 

メーカーがワルツ商会というのは興味深いところかもしれません。

1940年代まではフードやフィルター等を制作する一般的なカメラアクセサリー会社だったものの、1950年頃になりOEMといえどカメラ本体も販売するようになり次第に力をつけていきました。しかしあんましにも事業を拡大しすぎた結果なべ底景気のアオリを受け1961年に倒産。

 

倒産直前の1961年1月のアサヒカメラの広告。

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コパルSVにF1.8 45mmの露出系連動機にしては22000円と少々強気の価格設定ですね。

1961年1月というのは中級カメラ界にとってはエポックメイキングな月ですよね。

なんてったって18800円でF1.9 45mmを搭載し自動露出キヤノンのキヤノネットが発売されるんですから。

 

ダンピングだとか価格破壊だとか散々騒がれたのもなんとなく理解できますね。

 

ちなみにもっと安い中級レンズシャッター機は他にもありました。

例えば、アイレスバイカウントF1.9とか、1960年に倒産したアイレス写真機を引き継いだ大澤商会が乱売したんですね。驚きの14600円ケース付きでした。ベースが高級機のIIIS型なだけに可哀想に。

 

そういえば、ワルツエレクトリックではKominar 45mm F1.8に変わってますがそれはどうなんだろう...とか気になるところではあります。

 

Walz Envoy 35も気が向いたら試写しようと思います~!

セイコーロードマチックとライナーをオーバーホールに出した話

かねてより探していた日付クイックチェンジの故障していないセイコーロードマチックをネットオークションで手に入れたのでオーバーホールに出してみました。

 

56ロードマチックは日付のクイックチェンジに使われている樹脂部品の破損で故障しやすいと評判で長い間物怖じしていたのですが、70年製造までの前期型には金属部品が使われていたとのことで69年2月製だったということもあり購入したんですね。

 

matic6246.web.fc2.com

 

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右のセイコーライナーは以前から所有していた手巻き。

 

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お見苦しい腕で申し訳ないですが、非常にフィット感が良いんですよ。

今の時計はどれもケースが大きすぎるんですよね。

 

では。

国産普及35mmレンズシャッター(F2帯)レンズ備忘録

個人的な備忘録ですので割と誤植、抜けあると思います。ご容赦ください。

 

AIRES

BEAUTY

CANON

FUJICA
KONICA

KOWA

LORD

MAMIYA
MINOLTA

OLYMPUS

PETRI

RICOH

TARON

TOPCON

WALZ

YASHICA

 

AIRES

・H.CORAL 45mm F2.0(4群6枚)35III(大口径化火付け的レンズ)

・H.CORAL 45mm F1.9(4群6枚)35IIIL、35IIIC

・H.CORAL 45mm F1.8(4群6枚)35IIIS

・S.CORAL 45mm F1.5(5群7枚)35V

 

BEAUTY

・CANTER-S 45mm F1.9

・BIOKOR 45mm F1.9(4群5枚説)LIGHT-O-MATIC II、同III

 

CANON


CANON LENS SE 45mm F1.9(4群5枚)Canonet、同QL19、同QL19E

CANON LENS SE 45mm F1.7(5群6枚)Canonet S、同QL17

CANON LENS 40mm F1.7(4群6枚)New Canonet QL17、Canonet G-III QL17

CANON LENS 45mm F1.9(4群5枚)New Canonet QL19、Canonet G-III QL19

 

 

FUJICA

 

・FUJINON 45mm F2.0(4群6枚)35ML

・FUJINON 45mm F1.9(4群6枚)35SE、同EE、

・FUJINON 45mm F1.8(4群6枚)V2、COMPACT D、同DELUXE

 

KONICA

 

・HEXANON 48mm F2.0(5群6枚)III、IIIA、IIIM、S、S2

・HEXANON 50mm F1.8(5群6枚)IIIA(1.8)

・HEXANON 47mm F1.9(5群5枚)Auto S、SIII

・HEXANON 45mm F1.8(4群6枚)Auto S2、ELECTRON

・HEXANON 45mm F1.6(5群7枚)Auto S1.6

・HEXANON 38mm F1.8(4群6枚)Auto SE

 

 KOWA

 

・PROMINAR 45mm F1.8()Kallo 180

・PROMINAR 50mm F1.4(4群7枚)Kallo 140

LORD

・HIGHKOR 40mm F2.0 5D

・HIGHKOR 40mm F1.9 SE

・HIGHKOR 40mm F1.8 SL

 

MAMIYA

・SEKOR F.C 4.8cm F2.0 (4群6枚)35III

・SEKOR F.C 4.8cm F1.9(4群6枚) 35S、METRA、CROWN

・SEKOR 48mm F1.7(5群7枚) AutoDeluxe

・SEKOR 48mm F1.5 (5群7枚)Super Deluxe

・KOMINAR 48mm F2.0(4群6枚)35M3

 

MINOLTA

・ROKKOR-PF 45mm F2.0(5群6枚)V、V2、V3、HI-MATIC、AL

・ROKKOR-PF 45mm F1.8(5群6枚)HI-MATIC 7、同7s、AL-2 

・ROKKOR-QF 40mm F1.7(4群6枚)ELECTROSHOT、AL-S、AL-E、HiI-MATIC E

・ROKKOR-PF 45mm F1.7(5群6枚)HI-MATIC 9、同11

 

NEOCA

・ZUNOW 4.5cm F1.8 NEOCA SV

 

OLYMPUS


・G.ZUIKO 4.5cm F1.9 (5群7枚)35S

・G.ZUIKO 4.2cm F2(5群7枚)35SII

・G.ZUIKO 4.2cm F1.8(5群7枚)35SII、AUTO、35SC

・H.ZUIKO 3.5cm F2.0(6群8枚)WIDE SUPER

・G.ZUIKO 4.2cm F1.7(5群7枚)35LE、35LC

・F.ZUIKO 40mm F1.7(4群6枚)35DC

 

PETRI

 

・Orikkor 45mm F2.0(4群6枚)35F2

・Orikkor 45mm F1.9 (4群7枚)35F1.9 AutoMate

・Orikkor 45mm F1.8 (4群6枚)35F1.8

・PETRI 45mm F1.8(4群6枚)7、7s、PRO7、RACER

・PETRI 40mm F1.7(4群6枚)ES AUTO

 

RICOH

 

・RIKENON 45mm F1.9(4群6枚)519Deluxe、JET

・RIKENON 45mm F2.0(4群6枚)MAX

・RIKENON 50mm F1.9(4群6枚)999

・KOMINAR 45mm F2.0(5群6枚)35L

・RIKENON 43mm F1.7(4群6枚)SuperShot

・RIKENON 40mm F1.8(4群6枚)ELNICA M

 

TARON

 

・TARONAR 4.5cm F1.9

 

 

TOPCON

 

・TOPCOR 4.4cm F2.0(4群6枚)35-S、35-L

 

WALZ

 

・KOMINAR 4.8cm F1.9(3群7枚) 35-S、ENVOY

・S-KOMINAR 4.8cm F1.8()ELECTRIC

 

YASHICA

 

・YASHINON 45mm F1.9(4群6枚)35、35YL、35EE

・YASHINON 45mm F1.8(4群6枚)LINX

・YASHINON 45mm F1.4(5群7枚)LYNX14

・YASHINON DX 45mm F1.7(4群6枚)ELECTRO 35、同PRO、同G、同GT

⇒COLOR-YASHINON 45mm F1.7(4群6枚)ELECTRO 35GS、同GTN、同GSN

・COLOR-YASHINON 35mm F1.7(4群6枚)ELECTRO 35CC、同CCN

・COLOR-YASHINON 40mm F1.7(4群6枚)ELECTRO 35GL、同GX

 

 

 

レンズで選ぶレンズ固定機も面白いかも?

Miranda Sensomat RE&Auto Miranda 50mm f/1.9と浅草

ご無沙汰しております。

 

久々の更新

nikora060.hatenablog.com

ちょうど一ヶ月前の話になるんですね。

板橋と光学展に行った後、友人の用事があるというので浅草まで。

用事を済ましている間、僕は小一時間ほどの暇ができたんですね。

 

せっかく著名な観光地浅草にカメラ一台と予備のフィルム数本を持ってきているわけで撮らないわけにはいかないですよ...ね?

 

カメラは ミランダ センソマートRE

レンズは オートミランダ 50mm f/1.9

フィルムはFOMAPAN 200

 

昨今はウイルス蔓延で浅草での報道写真が印象操作と話題ですが、全部50mmです

それより一ヶ月以上前の撮影ですし。

 

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仲見世通り

久々に来た気がします。近くを通りかかることはあったんですがね。

 

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木村伊兵衛ばりにここで二十分ほど構え、同じカットを量産、いい感じの人物が登場しないかと狙ってましたが来ませんでしたね...

 

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ここでもカメラを構えたまま待機する不審者やってました。

 

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せっかくならアオリを効かせて撮りたい構図。

PCニッコールなんて持ってきてないので無理ですが。

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左側の人物がなあ......イマイチです。

 

今回ミランダセンソマートREを使用して思ったのは、やはり巻き上げレバーが端に寄せられているのは非常に感触に違和感を感じ扱いにくいことです。

同センソレックスは非常に感触が良かっただけに残念というか。

 

60年代の普及機だとどの機種を触ってもアサヒペンタックスSPには敵わず、兎角SPのできの良さと作り込みの良さが目立つわけですね。ただスクリーンの見え味がフレネルレンズが原因かボケの表現がわかりにくいのは個人的には好きではないです。

 

高級機を含めていうならダントツニコンFが速射でも感触が良く、スクリーンの見え味のよさ(の上交換可能)も含めあれに敵うものはないという印象です。

 

70年代にもなるとどのメーカーも随分良くなるんですがね。

 

では。