一般にオーバーホールと言われる作業ですが素人なのでオーバーホールだなんて仰々しい言葉は使わずにメンテナンスと題名をつけてみました。
ここのところ修理依頼を受けたペンタックスKMコピー機を修理してからというもの、いい機会だと思って随分前から貯めていたペンタックスSPなりSPFなりを6台位メンテナンスしました。
ペンタックスSPといえば1964年から1973年まで長きに渡って全世界に180万台も生産され、後継機(SPF、KM、K1000等)の同等機構を持った機種も合わせるとそれこそ膨大な数が生産された機種ですが各パーツの配置もよくメンテナンス性も相当考えられ作られていたことを実感しますね。
貼り革は相当強固な接着剤で貼り付けられ、幕速調整ネジは接着剤で固められ、おまけにシャッターブレーキはスポンジというどこかのカメラメーカーとは大違い(???
こちらのペンタックスSPはまる氏に頂いたものです。
重ねてお礼申し上げます。
ファインダー、シャッター調速部、スローガバナ、ミラーボックスをはずしたところ。
スローガバナはワンウェイクラッチ内蔵のペンタックスSV等と比べると幾らか組みやすいですが部品点数はこちらのほうが多いですね。
ミラーボックスのクイックリターンミラー駆動部
絞りもミラーに連動して動く効率的なタイプでSVとよく似ています。
ちなみに前期型SPと後期型SPとで星を付けたあたりとか異なっているので改良点を探してみると面白いかもしれませんね。
自動絞りをミラーと連動して動かすか否かでだいぶ設計が変わってくるのも面白いところ。ミラーと連動して動かさないタイプではキヤノンF系やミノルタSR系等がありますがあれは底部が相当煩雑な機構になっています。
アサヒフレックスIIAからペンタックスS2まで続きニコンにもパクられたミラー駆動機構はペンタックスSVで変わってしまいました。ペンタックスSPはその改良版が使われています。
あの機構の弱点は機構はミラーボックス内に付くために内面反射が気になるのと、ミラーアップできない(ニコンFでは一コマ無駄にすることで可能)ことですがミラーアップ機構を付けるつもりだったりしたんでしょうかね。
シャッター制御部です。
一軸不回転にしては大変スマートにまとめられており毎度感心します。
他社ではシンクロ接点切り替えをここに持ってきている機種がありあれは相当煩雑な機構になってますね。
4軸シャッターの構造としてはまんまアサヒフレックスからの発展型なんですよね。
巻き上げ部のワンウェイクラッチのあたりなんかもアサヒペンタックスから同様の機構が使われていますし。
キヤノンでもキヤノンF-1までキヤノンフレックスに微妙に似た設計がされており驚いた記憶があります。こういうところってメーカーの特色が出るんでしょうな。
写真を撮り忘れましたが、ペンタックスSVでは手前の軸が後幕、後ろの軸が先幕というアサヒフレックスの設計を引き継いでいました。
明らかに後幕の方が長く今となってはほとんどのペンタックスSVがリボン切れで故障していることからもわかるように非効率な設計でしたが、ペンタックスSPでは先幕後幕逆になり長さがほぼ同じになりました。
赤:先幕 青:後幕
ちなみにキヤノン初の4軸シャッターだったキヤノンフレックスでもアサヒフレックスに倣ってか後幕の方が長い設計をしていましたが、あれはFTb-Nまで改善?されませんでしたね。電子式のAE-1になってから改善されたっぽいです。
当時のキヤノンの幕は両面絹で片面ゴムのペンタに比べると軽いので必要なかったのかもしれませんが。
そういやAE-1では片面ゴムだった気が...
あと特筆すべきは中級機のペンタックスSPでもニコンF同等に幕速調整ネジが微調整しやすい機構になっていることですね。非常に調整しやすく好きです。
系列機種や他社対抗機種と比べてみると新たな知見が得られますね。
では。