余談がメインになりつつある好評(ウソ)の分解修理と余談シリーズです。
今回は初の二眼レフ、プリモフレックスIIIA型の紹介です。
さしてまともに更新していないブログですが、アクセス解析を見るに意外にも分解修理と余談シリーズは好評のようなんですよね。実際。
この系統のブログでトップに君臨できるよう精進する次第で...(ウソ、やる気ない
当時の広告です。昭和29年頃。結構新しい。
どうしてもローライタイプでだるまカバーの付いていない((シャッターむきだしの)二眼レフカメラは古く思われがちですが特にそういうわけではなく、中級、廉価機は最後の最後までシャッターむき出しでしたね。
RECTUS 1/1~1/200に三枚玉のトーコー 7.5cm f/3.5で23,000円という典型的な中級機です。
当時の二眼レフカメラのクラスは
¥30,000~ 4枚玉、バヨネット付き、自動巻止或いはフルオートマット、1/500までのラピッドシャッター
¥20,000~30,000 3枚玉、自動巻止、1/1~1/200あるいは1/300
¥10,000~20,000 全群繰出、赤窓式、1/25~1/200あるいは1/100
¥~10,000 前玉回転式、赤窓式、1/25~1/200あるいは1/100
という大体の相場がありました。
¥40,000~ ミノルタフレックスIII、アイレスフレックスZ
¥30,000~40,000 エルモフレックス
¥20,000~30,000 プリモフレックスIB、ミノルタコード
¥10,000~20,000 ヤシカフレックス
¥~10,000 リコーフレックスVI、ビューティーフレックス
代表機種を挙げるならそのあたりでしょうか。
よく戦後の二眼レフカメラブームの先駆者は理研光学のリコーフレックス、それに倣って四畳半カメラメーカーが氾濫した...といった文脈で語られることが多いものの、もちろんリコーフレックス風味の前玉回転式の機種もありますが多くはその一つ上の価格帯である10,000円代のローライコードタイプの機種となりますね。
本当の意味での価格破壊は、この時代の数年後、二眼レフの熱が収まりスナップ写真ブームも吸収、35mmカメラに収束しつつあった昭和30年代のヤシカフレックス、ビューティーフレックス等の従来なら20,000円前半であったであろう全群繰り出し、自動巻止、且つ高品質の二眼レフが10,000円代、時には10,000円を割る価格帯で登場した頃だと思っています。
当然ながら、その価格帯で何とか持ちこたえていた販売店ブランドの四畳半カメラメーカーは淘汰されたわけなんですね。
RECTUS付きのプリモフレックス¥23,000.-に対し、セイコーシャラピッド付きのローレルフレックスは¥27,000.-となっています。
ちなみにローレルフレックスは発売元が服部時計店であるために精工舎付きなんですね。
J.Simlar とTokoの違いは4枚玉(テッサー)か、3枚玉(トリプレット)かの違いですね。トリプレットタイプではサイデルの5収差は補正できることとなっていますが、新種硝子の登場していないこの時代のトリプレットだと諸収差(非点、コマ収差)の補正が不完全でボケが荒々しくなってしまったのです。絞る分には問題ないんですがね...
RECTUS 00番
富士精密という会社のシャッターだそうです。
旧車好きとしてはプリンス自動車工業の前身、富士精密工業を想起させますがぜっったい無関係ですね。
どうせなら東洋精機製のプリンスフレックスに搭載してほしかったですね。
...ネタがわかりにくすぎる。
一般的なプロンタータイプのシャッターです。
セルフタイマー搭載モデルがあったのかスッカスカです。
実のところ、レクタスシャッターは以前もOHしたことがありますがこの世代だとまだ羽根がネジ止めなので分解清掃しやすいんですよね。
リング周りに汚れが溜まっていると高速側で精度が出ないため清掃します。
以前、Twitterで私のスペースで散々レクタスシャッターの文句を言ってしまいましたが普通に精度の良いシャッターです。ごめんなさい...もう存在しない会社だけど。
特にチャージしているときの感触が「ぬるっ、ぱちっ」と云った感じで非常に気持ち良いんですよね。食レポは上手くないのであんまし上手く表現できないですが。
スローガバナー...簡素ですね。
大抵この時代の二眼レフのミラーは蒸着は曇り、拭くと傷まみれになりがちなので表面鏡切り出しかなーと思ったのですが、蒸着が剥がれない程度に軽くコンパウンド掛けをしたところ普通に中央部は綺麗になりました。
これが中心部2.5倍、周辺部10倍の光量を持つと言われるトーコーブライトです。
...にしてもこんなこれみよがしに刻印する必要あるのかしらん。
そういえばゼンザブロニカDもトーコーブライトとのことですが、これも刻印入っていますね。好きだなあ。
そんなこんなで修理おしまい。
貼り革を剥がすと破れてしまい、オリジナルを好む僕としてはいただけないので巻き上げ機構と繰り出し機構はそのままです。二眼レフカメラを好まないのはそんなしょうもない理由だったりします。
加えて、どれもこれも判を押したようにローライタイプの自動巻止に前板繰り出し、トリプレットないしテッサータイプで面白みがないというのもあります。
それこそ構成枚数が増えたクセノタールないしダブルガウスタイプが"安価で" "国産品で"あれば面白いんでしょうけどねー。この系統で面白いのなんてフジカフレックスとコニフレックスくらいじゃないですけ。
トリプレット派生系は絞れば当然のようによく写りますが、それだけじゃ面白みが足りない。乱れたボケは私の性に合わないし...
おまけ
二眼レフとは関係ないものの、トプコン35ってセルフコッキングだったんですね。
ボデーレリーズだけかと思ってました。オリンパス35に酷似したデザインだし...
調べれば調べるほどにこの時代、セイコーシャラピッド付きは一種権威的な存在だったことがわかります。この頃のコパルは1/300までのプロンタータイプしか生産していなかったため精工舎には比肩するものではありませんでした。(このあたりの話すると長くなる)後年、コパルMXで1/500は登場しますね。
国産品でコンパーラピッドコピーとなると第一光学のダイイチラピッド、小西六のコニラピッドあたりがありますね。
プリンスフレックスはどうでもいいとして、プリンスジュニアーは先述の昭和30年代の価格破壊二眼レフの中でも先駆者的な存在であるため一台はほしいと思っているんですよね。
プリンスジュニアー、ビューティコード、ヤシカフレックスAIIあたりは欲しいかも。
(後者二台は所有歴あったりするんですが)
では。