僕は速射ケースが大好きである。
まぁ、理由としてはカメラの傷を気にせずに持ち運べるとか入れた方が格好良いとか......その中で一番大きいのが「昔の標準スタイルだから」
そう、70年代前半までは速射ケースに入れたまま使うのが主流だった(そうだ)
中古カメラ店はさておき、ヤフオクとかメルカリといった個人売買でクラシックカメラを購入すると9割9分、速射ケースがついてくる。
カメラの価格も速射ケース込みの価格になってることが多い。
あの”安さ”を売りにしたペトリカメラでさえ、ペトリV6の広告では『一眼レフが・・・! 23,800円!』(本体21,600円、ケース2,200円)と表記されてる程である。
さて、当時速射ケースがカメラと共に用いられていた様子を本体の傷からうかがい知る事ができる。三脚穴の痛みが主だが、その中でも初期ペンタックスは少々変わっている。
シリアルナンバー上の部分、メッキが剥げて真鍮が露出しているのがわかるだろうか。
なぜ、こんなところだけメッキが剥げているのだろう......
答えは、純正速射ケースによるものである。
使い込むとこの部分だけが擦れてメッキが剥げると言うわけだ。
使い込まれたペンタックスS2(スーパーではない)の多くはこの部分が剥げている。
そして、この個体のようにケースの下だけサビが発生しているということもある。
この頃のペンタックスのケースでは三脚穴ではなく、このように紐とボタンでカメラを固定していた。
ペンタックスSV用ケース
そして、後年のペンタックスSV(1962)用のケースでは一般的な三脚穴の固定に変更されている。
こうして、カメラに残された傷を辿って行くと思いがけない発見を得ることができる事がある。「たかが傷、されど傷」だ。