にこらのブログ(カメラ修理館)

クラシックカメラを修理、収集している学生のブログです。

Leica IIIf+Summicron 5cm F2.0の試写と戯言

 

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なんか生えた

 

イカIIIf君です。泣く子も黙るズミクロン付き。

旧ブログタイトル『国産写真機に魅せられて』の管理人には意外かもしれない機種です。

 

1950年発売、1940年発売のライカIIIc型にシンクロとボールベアリングシャッターを載せた改良型となります。戦中軍用にはボールベアリングシャッターを載せたライカIIIc(K)がありましたが、それを民間用に転用したわけですね。

 

軍用に卸していたカメラを改良して民間に転用する例は第二次世界大戦後数多くありまして、日本ならニッカのニッポン、アメリカならプレミア・カードン等が有名ですね。

 

まぁ、戦中戦後すぐというのは工業製品の品質というのは著しく低下するわけでライカIIIc型の評判も芳しくないわけですが、その点戦後直後の混乱からある程度社会の安定してきたIIIf型なんかは評判も良かったりします。

というわけで使う目的なのでIIIf型を購入したわけですが、いずれはIIIcも欲しいなーなんて思ったり。過去の自分のカメラ購入の流れを見ていると気がついたらIIIaもDIIIもDIIも...と勢いで買っちゃいそうなものですが自制せねば。

 

IIIc型なんかは戦時中の生産ということもあって、もともとアメリカのグラフレックスから輸入していたシャッター幕、マレーシア原産の天然樹脂である貼り革のグッタペルカなどなどの入手が困難になったせいで一部特殊な仕様になってるものもあるようで。

 

...そういうのって惹かれません>惹かれないですかそうですか。

 

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随分前にライカIIfの幕交換...(てかオーバーホールやな

をしたときにボールベアリングのボールを外したときの写真

 

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戦前の板金ライカとはひと味違う作りです。

 

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製造年で同い年のキヤノンIII型は戦後のキヤノンではこの機種から実用になると個人的に思っている品質、機能的にも安定した機種ですが、仕上げにはあと一歩及びません。

 

梨地メッキのより細やかなキヤノンIVSb改良型になると仕上げでは届きそうなものですが...その頃にはライカM3が発売されていると。まだドイツ製カメラが遥か向こうにあった時勢を感じさせます。

 

この時代のアサヒカメラより

 

最近ドイツからの一帰朝者は、ドイツでの日本カメラの評判を次のように伝えているという。(ライツ代理店ライカ社谷裕氏談)「ライカの一技術者はニコンキヤノンを見て、『これはたしかにすぐれたカメラだ。しかしまだドイツのカメラを抜くものではない。これだけのものをつくるすぐれた技術と設備を持ちながら、日本ではどうしてもつとオリジナルなカメラを作らないのだろう』とその感想を語つた。そしてこのカメラを見るまでは、アメリカで評判を得ている日本のカメラについて心配していたが、この程度ならと安心顔でした」という。

「アサヒカメラ 昭和26年11月号」(朝日新聞社 1951)

 

たしかに、実際ライカIIIfとキヤノンIIIを手元で見比べてみるとライツ社の一技術者のコメントもわからないでもないような。ただキヤノンには一眼変倍ファインダーという武器がありましたし、IV型には自動シンクロタイミング切り替えなんて武器も備わったりしました。

 

キヤノンは純粋なライカコピーのニッカやレオタックスなんかと違い、最後の最後までライカIIIc型のダイカストタイプは出さずライカDIII型をベースにした板金タイプの片手間の改良でバルナックタイプは済ませてしまいました。

 

機構的に見てもあの頃のはライカには及ばないものだったんでしょうね。

 

キヤノンはなぜあそこまで板金タイプの改良に執着していたのか冷静に考えると謎なんですよね。1951年11月の下丸子工場(今も本社があるよね)移転の頃からシャシーの多くを占めるフレームをダイカストにしてなんちゃってダイカストにしたり、板金タイプの欠点である1/8と1/25の中間速も1954年3月のキヤノンIVSb改良型からガバナーをわざわざ二段に改良し1/15を設定したりしました。

 

それもこれも結局はIIIcのコピーを作れば済む話だったんですよね。

キヤノンほどの技術と資本力があればかんたんなことだったと思うんだけどな。

 

Canon Serenar 50mm F1.8、NipponKougaku Nikkor-H.C 5cm f/2.0 も両者とも本当によく写るレンズです。伊藤 宏氏と村上 三郎氏に感謝...

 

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一応純正ボディはあります。

ニコンキヤノン、ニッカ、ライカ揃い踏み?

コンタックスが足りないなあ...

 

フィルムはいつものAGFA APX100をD-76で9:00

レンズはLeitz Summicron 5cm F2.0(LTM)

です。

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 こいのぼり。もうすぐこどもの日ですもんね。

 こいのぼりの下を虫取り網をもった半裸の少年が。

 

絵に描いたような日本の風景。撮りませんでした。一生の不覚。

 

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 逆光で試してみた

 

まぁ、解像度と階調の滑らかさが良いですね。

これがNikkor-H.C 5cm F2.0ならもう少しコントラストが強めに写るのかな。

感度ASA100の中庸感度のフィルムを使ったこともあって下手な中判カメラよりもよっぽど解像感は高く感じますね。

 

まぁ、そんなところです。それでは。