にこらのブログ(カメラ修理館)

クラシックカメラを修理、収集している学生のブログです。

消えないファインダー像 キヤノンEOS RT

 

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機会があれば入手しようと思いつつ早5年近く()経過し、この前思いの外安価にあるのを発見し綺麗だったのも相まって購入したEOS RT君です。

 

一種ネタカメラですが、前のユーザーも面白さに惹かれて買ってみたは良いものの使わなかったのでしょう。モールド梨地加工の梨地も角まで綺麗なまま残っております。

 

個人的にはEOSは初代EOSが最も良いと思っているんですよね。

さすが初代機、デザインや操作系は非常にコンセプトが明確で道具としての完成形を見せていると思います。あとのEOSに至っては劣化版くらいに思ってるくらいです()

中級機ながら金属シャシー(金属ガイドレール)で、EOS-1が2年後に登場するまでのつなぎを兼ねていましたからファインダー像も非常に良く、また各部の工作も非常にしっかりしている。

発売後数ヶ月でα-7000からシェアを奪回しシェアトップに躍り出たというから伊達じゃありません。

売れに売れたカメラですから、シャッターダンパーゴム溶け出しも相まってジャンク箱じゃゴミのような扱いを受けていますが、ちょっとなあと。

 

かつてEOS 620にEF17-40mm f/4L USMをつけ使っていましたが快適でしたよ。

 

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気がついたらEOS 650に話が逸れていました...

EOS RTはEOS 630のクイックリターンミラーをペリクルミラーに変更した機種となります。「ハイパワーイオス」EOS 630はそのキャッチコピー通り秒間3コマだったEOS 650のモータードライブを5コマに拡張しカスタムファンクション、マルチプログラムを内蔵した機種でしたが、RTではマルチプログラムは省かれていますね。

 

以前存在した「趣味の文具箱」さんだったかが初期EOSの紹介を細かく書いてあり非常に参考になったものですが、いつの間にか(Geocitiesサーバーだったからか)閉鎖されてしまいました。非常に残念です。

 

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加えてEOS 650~630では緑四角の自動モードだった場所にRTモードが割り当てられています。これが面白くて、半押しをすると通常通りAF作動後、常時出ているAF作動用サブミラーを下げ完全自動絞りを設定絞りまで絞り、レリーズで即時シャッターが作動するようになるのです。

 

いやー、電子技術があったからこそ可能になった機能でしょうね。

 

そのときのレリーズタイムラグが世界最速の0.008秒というから恐れ入ります。

レリーズタイムラグが少ないことではニコンF2が有名ですが、あれでも0.028秒でしたからえげつないのです。

 

当たり前ですがクイックリターンミラーが存在しない分、レリーズ後も暗転しませんから覗いているときは故障してるような感覚です。

 

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キヤノンの一般販売用ペリクルミラー搭載機ではキヤノンペリックスもよく同時に挙げられがちですが、キヤノンペリックスとキヤノンEOS RTでは若干コンセプトが異なっており、キヤノンペリックスでは消えないファインダー像に焦点をおいているのに対し、キヤノンEOS RTではそれに加え先述のレリーズタイムラグの少なさに焦点をおいているようです。

 

キヤノンFXをベースに作られたペリックスでは(本題とは逸れるので詳しい説明は省きますが)機構上レリーズボタン押下とシャッター作動は連動できず、ガバナーによって作動を遅らせているのです。

 

レンジファインダー機を創業以来作り続け、キヤノンフレックスとキヤノン7(or VI)で一眼レフとレンジファインダーを両立しようとしていたキヤノンでしたが、時代の流れにより一眼レフの一本化が求められ、それでいてファインダー像消失が許せなかった技術者の努力の賜物なのでしょうね。

 

こうなると、EOS-1n RSとEF300mm f/2.8Lあたりも欲しくなりますね。

うーん、我慢せねば...