にこらのブログ(カメラ修理館)

クラシックカメラを修理、収集している学生のブログです。

リコーワイド2.4の試写と余談

今、広角レンズといえば24mm未満の焦点距離を指すようですが、かつて50mmレンズが標準としてセットされていたころは50mm未満、強いて言えば(ライカ判対角線43mm未満である)40mm未満のレンズを広角レンズと定義されていました。

 

コンパクトカメラに準広角の38mmが搭載され始め一眼レフでもズームレンズが標準となり始めた80年代から徐々に広角化し始め、90年代中頃には24mmから標準、中望遠までのズームレンズが登場、00年代初頭には24mmスタートが一般と化していたようです。

コンパクトデジタルカメラも2010年頃から28mmスタートが標準となりました。

 

そんな中で登場したスマホのカメラは、いつしか24mmが標準となり、今どきの3焦点搭載機種は「広角16mm、標準24mm、望遠70mm」なんて訳のわからない売り方をしていますねえ。「標準は50mmだろ」なんて言おうものなら秒殺で老害認定でしょうね(白目

 

さて、かつてレンジファインダーが全盛だった1955年に遡ると、アマチュアは35mmならレンズ固定式のレンズシャッター機、ハイアマチュアになるとようやくレンズ交換式のフォーカルプレーン機を使うようになりますが如何せん交換レンズが高価で手が出ない。そんな状況でした。

 

マチュアのレンズ交換したい欲はなかなか深刻だったように見え、標準レンズが80mmのリコーフレックスに専用器具を取り付け35mmフィルムを使えるようにし簡易望遠レンズとして使える「リコーキン」なんて器具も販売されていました。

 

後年、一眼レフ普及前夜にはレンズフィルター枠に取り付けるワイド、テレコンバージョンレンズなんてものも発売されていましたがピント位置がズレるため専用機種のみ、手動で補正せねばならない上画質が思わしくなかったようであまり普及せず。

 

そんな中で発売されたのがオリンパスワイドで、交換レンズよりも廉価でかつベース機のオリンパス35Vの小型堅牢さを引き継いでいただけにそこそこ売れ、ワイドカメラブームなるものを形成するに至ったそうです。

リコー、ミノルタ、マミヤ、ワルツ等が対抗機種を発売し次第に距離計搭載、大口径化の道を歩んだようですね。

 

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今回試写したリコーワイド2.4もそんな中で発売されたワイドカメラで、当然ながら距離系搭載、日東光学製S.Kominar 3.5cm f/2.4付き、セイコーシャMXLまで付いて12,800円ですからワイドカメラ成熟期のカメラですね。

 

オリンパスワイド最終形態のオリンパスワイドスーパーは6群8枚のH.Zuiko 3.5cm f/2.0搭載のハイスペック機でしたが、さすがに広角でf/2.0は要らんやろという正気なのかはたまたコストの都合か知りませんがf/2.4にとどめたようです。

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みんな大好き構成図、残念ながら特許は見つかりませんでした。

3.5cmで対象型です。構成図は説明書からの抜粋です。

今、ライカの35mmレンズが買えない層が飛びついているのかキヤノンニコン等の35mmレンジファインダー用レンズが高騰していますね。

かくいう私も買えていないのですが、低バックフォーカスになってしまう広角対象型レンズは一眼レフ用にはなく何気に初めてだったりします。

最安で対象型広角レンズを楽しめる機種じゃないかしら?

 

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先程説明書について触れましたが、当時のフルセットがそのまま付属していました。

 

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「あなたの愛機をかわいがってやってください」

なんて説明書に記載がありましたが、結構可愛がっていたようで説明書は多くの線引きと記述が残されていました。私目線から見ると解釈を誤っている記述が見られましたが...知らん()

 

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距離計です。この系統の機種は非常に凝った距離計が搭載されており、5つのプリズムに4つのレンズが使われています。1万円台の機種は大抵凹凸の逆ガリレオファインダーの中央にハーフミラーをおいたようなものですので非常に豪華とも言えます。

 

ただファインダー倍率は低く、また高級レンジファインダーとはことなり距離計部分は全面に亘って蒸着されておりますので薄暗い印象を受けます。距離計自体は合わせやすい印象。

 

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リコーの新型シャシーを採用しているのは300、MAX、WIDE 2.4のみのようですが、ここまで共用化するかよ...というほどに共用されていますね。

 

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セイコーシャMXLですから、ライトバリュー式です。

シャッター側がセイコーシャMX(andラピッド)から変わらぬ大陸系列で倍数の絞りと相性悪いのにも関わらず、ライトバリューにするのはいただけないですね。

ただ、フジカやアイレスのようにギア式連動ではない分扱いやすいです。

 

さて、試写

昨日、FFの方と東京府中市にある府中郷土の森博物館に行ってきましたので、そこでの撮影となります。

フィルムはAPX100、レンズはS.Kominar 3.5cm f/2.4です。

 

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薄い箇所はハレーションではなく煙ですね。

府中郷土の森博物館の隣の多摩川河川敷では多くの人がバーベキューをしていました。

コロナ渦で休日であっても遠くへは行けないためでしょう。

ある程度ソーシャルディスタンスは取れるしいい選択肢ですね。

 

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あえて二段絞って

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府中郷土の森博物館には久々に来ました。10年ぶりくらいだと思います。

あらゆる箇所と名称は断片的に覚えてはいたものの、それらが連続的に飛び込んでくるとある種新鮮ですね。

 

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中央の通りの横には盆栽が飾ってありました。

広角である程度ボケを利かすと気持ちいいですね

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古民家内の雛人形。1/25sec、開放(f/2.4)です。かなりシャープです。

 

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思えばフィルム2本撮影し、現像タンクの本数の関係で一本しか現像していなかったようで非常に中途半端になってしまいました。まぁ、こんなところです。では。