にこらのブログ(カメラ修理館)

クラシックカメラを修理、収集している学生のブログです。

ニコン ニコマートFTの分解清掃

またTwitterで長らく関わりのある方からの修理依頼です。

 

ニコン ニコマートFTの依頼となります。

ニコマートシリーズは不作だったニコレックスシリーズに代わり1965年に登場、以来1977年までFT FTn FT2 EL...とロングセラーシリーズとなりました。

 

特に1967年、ニコマートFTのマイナーチェンジモデルとして登場したFTnはヒット作となり市場でも数多く見かけます。なにせ104万台も売れたらしく一眼レフではペンタックスSPに継ぐヒットモデルでした。

それに引き換え、前代であるFTは僅か二年でバトンタッチしたためか12万台余りにとどまり市場でもFTnの印象強さに押されあまり見かけた覚えがありません。

 

稀にFTnかと思いきやFT2だったりFTだったり...という記憶がある程度で影の薄い機種となります。

 

私物のニコマートFTnと依頼品であるFT

次作のニコマートFTnで何が改良されたかといえば、平均測光が中央重点測光に改められたこと、ファインダー内にシャッタースピード表示が付いたこと、開放F値設定が半自動になったことが挙げられ根本的な仕様はほぼ変更されていません。

 

ただ、アサヒカメラ1968年1月号ニューフェイス診断室ではこのニコマートFTnが取り上げられていますが、仕様にほぼ変更はなくともその前後ブロックにおけるダイカストの型は全く別のものが使用されているらしい。

ちなみにニコマートFTのニューフェイス診断室は1965年11月号にて紹介されているらしいですが未入手。

 

ニコマートFTには製造初期の外部測光CDS穴がダイカストに残った初期型と、FTnと同等のものになった後期型とがありますが、各部仕様をみても製造日時(1967年2月)をみてもニコマートFTnにバトンタッチする直前の後期型の個体と思われます。

 

ちなみに後期型の特徴としてはフィルムカウンター周辺にニコマートFTn同等の銀枠が付いたことも挙げられます。

 

 

ニコマートFTの特徴といえば、設計として徹底的なユニット化を取っていることでしょうか。国産量産機ではキヤノネットが徹底的なユニット化に先鞭を付けたことで有名ですが、一眼レフではここまできちんとしたユニット化をしたものはそれまでなかったように思います。

 

機構だけを見るならば安普請なカメラに見られがちですがそこで浮いたコストを部材の向上に充てているようで一般的な普及機では真鍮メッキネジを使用するようなところであっても、アホほどでかい鉄ネジを使用、真鍮マウントではなくステンレスマウントを使用するなど結果として狂ったほど硬いカメラになってしまいました。

変な話、部材としては似ているものの何かと一回り大きく前板はダイカストの一体成型という硬さでニコンFより硬いんじゃないかしら。

 

コパルスクエアS

前代?ニコレックスFで使用されたコパルスケアーに代わり、Sが使用されています。

縦走り金属シャッターという仕様は変わっていませんが、根本的な作動方針はまるで違ったものとなっており、従来型では横走り布幕シャッターを縦走り金属にしたような作動方向が垂直であったものの、S型では平行に変更されています。

 

その弊害として、巻き上げにラックギアが必要なこと、またシャッタースピード変更がフォーカル面に平行になった(そのためマウント基部にダイヤルがある)ことがありますが圧倒的に作動は安定し静かに、そして背丈も小さくなりました。

次代のCCS(FM等)ではセイコーMFシャッターに触発され、ブレードを小型化、羽根枚数増加でより高さの低い設計となりましたね。加えてラックギアも不要になりました。

ニコマートシリーズがこれほどロングセラーになった遠因としてシャッターの根本的な改良が長らくなかったためとも言えるかもしれません。

動作方向がフォーカル面に平行になったほかは一般的な一軸不回転横走布幕機と作動方針は相違なく、1/1000-1/125は偏心板、1/60-1/15はガバナー開放、1/8-1/1はガバナー作動の変速となっています。

 

スローガバナー 分解洗浄しました。

コパル製だからか、コパルSVを見てる気分...()

 

シャッターは42年2月製造でした。ニコマートFTnの発売が10月ですのでFTとしては最後期型に当たるのでしょうか。

 

なぜか知りませんが、この時代のニコン機は塗装面にこのようなカビが生えていることが多々あります。

溶剤で拭けば取れますが、塗装面だけあって気を使いますね。

 

ファインダースクリーン部分のモルトも崩れるのは良いものの隣に露出計を通すためのスペースがあるためモルトくずが混入しやすい欠点があります。

ニコマートがちゃんと整備されているかどうかは、ミラー受け側のモルトではなく、このスクリーン周辺のモルトで判断したほうが良いかと思います。

なぜかといえば、このようにちゃんとボディからミラーボックスを降ろさなければ露出計が干渉しファインダーユニットまるごとが外れないのです。

さすがにミラーボックスまで下ろしてファインダーだけ清掃し終わるなんてよほどのものぐさしかしないでしょうし。

 

 

アルミ蒸着のため青白いものの時代なりに見やすくなったファインダーです。

この時代になるとフレネルレンズも細かくなり(1mmあたり25本)、またマイクロプリズム(J)も8度というまぁまぁ使いやすいものになりましたね。

ちなみに前期型のニコマートFTはフレネルレンズが荒く1mmあたり12.5本の若干粗の目立つものでした。

超音波洗浄しましたが、中央のマイクロプリズムのチリはなかなか取れませんね...

 

ニコマートFTnになるとこの受光窓に絞り板が加わった中央重点測光になります。

 

ニコマートで好きなのが露出計用配線を通すための隙間だったりします。

量産も相当考えたんだなあという謎の良心を感じてしまうのです。

露出計はNSK(日本精工)製なんですね。ちょうどフランジバックを計測するために使っている計器がNSK製で妙な親近感。ちなみにペンタックスシチズンキヤノンは自社、マミヤはセコニックだったりしますね。他は刻印ないのでわからない。

 

このあと組み上げてからNSK()でフランジバックを計測しましたが+0.01mmという精度でした。やっぱそこらへんもニコンなんだよなあ...

コパルスクエアも基本的には無調整でちゃんと精度が出るため、布幕機とは調整がいらず組み上げたときの快感が違いますね。

 

外装(貼り革、メッキ部分)も清掃しましたがスレ・キズがほぼなく今箱から出しました、みたいな綺麗さです。

とかくニコマートとなると実用機ということも相まって数こそ多けれど役目を果たしたものが多く綺麗な個体はあまし見かけませんからいいなあと。

 

先日、国産普及一眼レフの修理をしていましたが、その機種がほぼ無メッキ真鍮ネジで構成されておりいつ潰すかハラハラしていたのに対し、ニコマートではほぼ鉄ネジ、非常に気持ちよく分解できました。

露出計の近辺はしっかり真鍮ネジを使っているところも好感がもてますね、国産某社は露出計近辺に鉄ネジを使っておりしっかり磁化、取り付けるのが大変でした。

 

それにしてもコストダウンしようと思えばいくらでもできる、しかしその分のコストを耐久性向上に掛けたこんだけ堅いカメラが世間でちゃんと評価されきちんと販売実績を伸ばせる良い時代だったんだなあと思いますね。

まぁ、一般人にその硬さが要るかといえば...?

 

では。

ペンタックスESの分解清掃

Twitterでけっこう長くお付き合い頂いてる方からの修理依頼です。

ペンタックスESは後述の通り触ったこともありませんでしたが、SPと同様のシャッター機構を持っているため修理自体は可能だろうと考え引き受けました。SPと同様の故障であってもESというだけで条件付きでも撥ねられる修理屋が多いという見聞は聞いておりましたので...

 

ペンタックスSP(ちなみに後期が好き)の修理なら30台ほどしてきましたがESは過去に一度ESIIをペンタプリズムの拝借に分解したのみで触ったことすらもありませんでした。

1971年発売、電気制御としては初期のモデル、曰く世界初の電気制御の絞り優先EEな一眼レフだそう。電気制御という括りでみればヤシカエレクトロTLなんかもそうですからね。

 

この頃、出始めの電気制御AE一眼レフは非常に高価でニコマートELやミノルタXE、そしてキヤノンEFなどの中級機は軒並みボディ6万円超え、F1.4付で8万円超えなんていう高価格でした。

ニコンではニコンFの次世代機としてF2が登場したものの根強い需要からFは依然として生産(~’74)されていましたが、F2よりFが高価になるわけもなく、遂にはアイレベルではニコマートELに価格が追い抜かれるという逆転現象が起きたりしましたね。

 

同じことは、時を同じくして起こったクォーツ腕時計にも発生しており、セイコーでは

当時のセイコーを例に挙げますと、クォーツで一番廉価だった38QRでさえも56グランドセイコーよりも高価(38QRC…45000円 56GAC...44000円)なんて逆転現象が起こったり。

 

底上げされたボディの底部には電子基板が入っています。

カタログではこれみよがしに写されていた電子基板ですが時代を感じてしまいますね。

 

 

配線はこのようにまとめられています。

時代が時代ですからコネクターになっていない、とおもいきやソケットにはなっているようです。組み立ての際に大変なので外さず行くことに。

 

電子基板で底上げされたボディは専用のボディシェルを持っているわけでもなく、スペーサーにて底上げされています。まんまSPですね。

 

スローガバナーを固定していたネジ穴は向こう側から締められていますね。

 

軍艦部

底部から巻き上げクランク側の肩へ配線が延ばされ、そしてペンタプリズムを経由してシャッタースピードダイヤルの方まで続いています。おそらくファインダー内露出表示調整用の半固定抵抗ですね。スペース上の問題であっちこっち行っているよう。

 

前板を外した図

セルフタイマーがあった箇所は電池室用スペースと電磁石が配置されていますね。

 

上に行くのみの配線はチューブに囲われています。そりゃそう。

どことなくペンタックスSPFみを感じますね。同世代機ですし当然か。

 

ミラーボックスを外しシャッター機構の脱脂給脂をします。

徐々に掠れたシャッター音からしっかりとした作動音に変わっていくところがカメラが復活するようで好きなんですよね。これが好きでやめられないんです。

スローガバナーがあったほうが体感的には...(ry

 

SPではスローガバナー(アンクル開放)の連絡用に使われていたシャフトはオートマチック切り替えスイッチへの連絡棒になっていました。如何にもSPの部品...

 

SPではスローガバナーが配置された底部にはミラーボックスへの内部電極が配置されていました。意外にも整備性が高いですね。ミラーボックス外すまでに15本ほど電線を外しますけどね...

 

金メッキではなく真鍮のクロームメッキのためか電極が腐食していました。

軽く研磨(比較用に右半分)すると綺麗になりましたね。

ES君に異様に動作不安定個体が多いのは電子部品の故障ではなく案外こういう電子接点が問題だったりするのかもしれません。

電気カメラの故障は治らないと巷で耳にしますが、多くは機械部分の故障、調整ズレ、接点不具合のような気がしてきています。1970年代製のコンデンサーをテスターにて容量を計測してみても意外にも実用可能な容量を保っている上、IC故障も過電圧が発生しにくいカメラでは起こることは考えにくく......

ただ、電子カメラは機種ごとに調整方法が独特な場合も多く、ある特定の電子カメラの修理技能を持っていたとしても修理屋としては食って行けず、機械式フィルムカメラのように古今東西オールマイティーに行うのは不可能なんでしょうね。

 

 

モルトの交換を行っていきます。

 

そういえばミラーボックスの写真を撮るのを忘れましたが、SPFとほぼほぼ変わらないものが採用されていました...というよりSPF、SPIIがESの流用なのでしょうね。

ただ、プラスチックの自己潤滑性を用いた摺動部品のカバーは用いられておらず、SPとSPFの中間と言った印象でした。時代的にもそんなもんですが。

 

絞り値連動の動きが鈍かったため清掃、グリスアップ

ペンタックスSマウント(M42)のまま開放測光にするため、レンズ取り付け位置の連動ピンにて可変抵抗基板まるごとを動かし、そしてレンズ側絞り値の連動を行うという凝った方式が使われています。

これ、定点を変動させるという面ではトプコン特許を避けられたんじゃないかなーといつも思いますがどうなんでしょう。特許料払ったのかしら。

 

それにしても、この時点でペンタックスレンズマウントを変更しておけば...といつもSPFやESIIを見るたび考えてしまうのです。ちょうど旭光学はカール・ツァイスと共同開発を進める...という手前安易にレンズマウントを変えられなかったのかもしれませんがね。

 

それを思うと、膨大なユーザー数を獲得するペンタックスSP以前にバヨネットマウントにしておけば...と思いますね。時代背景を思うに無理な話なのかなあ。

 

なぜかペンタックスはファインダーまわりだけモルトが褐色に劣化するんですよね。

多少でも残っているとスクリーン内部に入り込みゴミの原因となりますので全分解清掃しました。

 

褐色のモルトが悪さしペンタプリズム蒸着を腐食していましたので交換。

今回のようにサビまみれのペンタックスSL君がいつもいれば心が痛まないんですけどね...

部品取りのペンタックスSL君

 

綺麗に一本筋が入っています。

 

プラス・マイナスの露出計表示板の代わりにシャッタースピード表示が入っています。

触れないよう注意しつつモルトの清掃。

 

貼り革の接着剤も剥がします。

ペンタックスの接着剤は剥がしやすくて助かります。その点キヤノンは剥がしにくいどころか爪の肉が剥がれるくらい力掛けても剥がれないほど強固なんですよね。当時の修理はどうしてたんだろう...といつも思います。

 

綺麗になりました。

 

シャッターの幕速調整を行った後、各部清掃して軍艦部カバーを取り付け完了。綺麗になりましたね。SPの魔改造といった印象が強いカメラでした。

 

ペンタックスESにはシルバーモデルの設定はないようでブラックモデルにみの様子。

キヤノンF-1にしてもミノルタX-1にしてもブラック=高級/プロというイメージのためブラックモデルのみの設定だったそうで、クロームメッキ大好きマンにこらとしては残念に思います?ブラックモデルもカッコいいんですけどやはりあの精密感も好きで...

 

閑話休題、このペンタックスESのオーバーホールのあとにニコンD100の清掃をしましたが、底部に電子基板を配置するという構成はペンタックスESと似ていますね。

 

過渡期に行き場のない電子基板が底面に配置されがちな現象...なんでしょうね。

 

では。

 

パイオニア TX-8800IIレストアの巻

ご無沙汰してます。毎回書いてます。

 

さて、2ヶ月前にデザインに惚れてパイオニアTX-8800IIを購入し、そこからアンプ、プレーヤー、オーディオラック、スピーカーと揃えたわけですがTX-8800II君、さすがに46年の歳月が経っているだけあり以下の不具合がありました。

 

・周波数ズレ(表示の-0.5MHzほどのズレ)

・低域のひずみ(加えてアナウンサーの「サ」行でのノイズ)

・NARROWバンドでのシグナルメーターが最大2までしかいかない

 

そんなん癖だと思えば受け入れられそうなものですがひずみの方が一週間で日に日に酷くなり聴いていられなくなりました。

 

nikora060.hatenablog.com

 

というわけでレストアすることにします。

 

まぁなんというか時代を感じる基板ですね。

この頃になるとトランジスタ主流の回路からICへと移ってきたころですね。

見えるパイオニアと書かれたICは汎用品ではなくちゃんと自社開発らしい。本当そこらも時代を感じてしまいますねえ...

 

PA1001はMPX PLL用ICだそう。ステレオ放送識別用のパイロット信号を打ち消すICです。

 

とりあえず劣化しやすい電解コンデンサーを片っ端から変えていきます。

底カバーもビスで外れるあたり、めちゃくちゃ整備性がいいですね。

 

とりあえず目に見える範囲ですべて交換。

 

4級塩コンデンサでひどい目にあったことのあるジャンカー電解コンデンサーが信用出来ないのです…

これらの古いコンデンサを手持ちのテスターで測ってみますと、なぜだか表記容量より大きく出るんですよね。新しい新品のコンデンサーだとちゃんと表記容量に近い(2.2μFでは2.250μF的な)値が出るだけに謎です。

ひずみは...いくらか改善した?

しばらく(数時間)電源を投入したまま放置していると改善されました。

 

さて、周波数ズレの修理をしなければ

某ネットオークションにて標準信号発生器を落としました。

もうこれいくら掛かるの...と思いましたが修理業者に頼むより安いのですよね。

まぁ、こうして機材を手元に揃えいくらか知識を蓄えておけば不測の事態にも備えられる...というわけで無理やり購入。

 

こういう計測器系は校正されてねえと...とか言わないでね。

と思って調べると校正だけなら18000円ほどで請けてくれるところがあるらしい。

 

標準信号発生器にて78MHzを出力

 

0.5MHzのズレというより0.4MHzのズレでしたね。

 

Pioneer TX-8800�U

いつもお世話になっている「ひろくんのホームページ」さんに習って調整

 

この標準信号発生器にはステレオ放送識別用のパイロット信号を発信する機能はないためステレオ関連は弄れませんでした。

 

にしても当時工場での調整作業風景が浮かんできてこれは面白いですね。

当時はこんなデジタル表示の信号発生器ではなかったでしょうけど。

 

ようやくNHK-FM(東京82.5MHz)がちゃんと82.5MHzで受信できてます。

調整がうまく行ったからか感度もいくらか向上したのは新鮮でしたね。

NHK-FMだけで5局ほど入ってきます。調整前は2局でしたかね。

 

にしてもめちゃくちゃ音質が良いんですね。

FM放送のポテンシャルあなどれないなあ。

 

上級機種のTX-8900IIがほしい...なんて思いましたが、当分これでいいかしら。

トリオのチューナーも気になるのですね。KT-7700、KT-8300あたりも気になります。

ソニー ZS-S40の修理(???

これ修理と言って良いのかしら...?と思いましたがCDを認識しないという同様の症状が散見されるようなので記事にしておこうかと。参考程度に。

 

今日()歯医者の帰りハードオフに立ち寄ってみると新入荷らしき商品にこんなのが混ざっていました。現行機とは珍しいなーと手にとって見ると

「CD認識しません。FM受信可ですが、選局キーが反応しません。」

それで330円。

 

kakaku.com

一瞬、一部のタクトスイッチが逝かれており(ソニーCFD-E500TVあたりでは頻発する)常時押下状態で反応しないのかと思いましたが、やたら新しく使われた形跡も少なく軽く動作確認してみることに。

マイコンが逝っているならマジでどうしようもないけどね。

 

確かにCDは認識しないというより...「READ」表示は出るもののピックアップレンズはまったく動かず(フォーカス動作をしない)レーザー光も光らない。

 

そして、FMに切り替えても選局キーが作動しない、というより操作全般反応しない。

その後、AMに切り替えても「AM」表示は出るものの表記はFM(76.0MHz)のまま。笑っちゃう。

 

しかし、電源を一旦遮断した後、CD作動に入らないままのラジオ動作は至って正常。

ほほーん、こりゃ面白いな。ということで購入。

 

にしてもめちゃくちゃ軽い。2Kgらしい。ニコンD800に標準ズームレンズを付けたくらいだもんなあ。

 

帰宅し、分解しようと思うもかなり奥まったところに#0番ほどのビスがあり、ドライバーを購入するまで断念することに。

 

んー、とピックアップを眺めるとTOC読み取り状態にあるはずの位置が妙におかしい?

 

試しに奥のギアを時計回しに回し動かしてみると、モーターで再びTOC読み取り位置まで移動し何事もなかったように動くように。

 

理由としては簡単で、TOC読み取り時にピックアップを端まで移動しリミットスイッチを押すことで読み取り作動に入るものの、何らかの原因でリミットスイッチまで移動できずその状態でスタックしていたよう。

 

根本的にピックアップのシークが遅く、スイッチに微妙に触れている状態だとスイッチの反発も加わって起動トルクが足りなかったんでしょうね。

 

CDモードから変更するとフリーズに近い状態になるのはピックアップ移動中だったから...でしょうね。

 

 

やはりあまり使われていなかったのかピックアップレーザーも状態がよく音飛びせず再生できています。

 

なんか呆気なかったなあ。

案外、ソニータイマーと俗に言われる故障もそんな些細な不良による故障が多いんだろうなあと思っています。あんなの故障率を統計的に取ってみなければそうとは言えないとは思いますが難しいでしょうしね。

CDラジオなんて故障するのはCD作動部が圧倒的に多いんでしょうから、そういった動作不良も想定して欲しかったなあ。

 

ヘッドフォン出力は結構作動ノイズが入ります。

根本的に動作が遅く、ボタンを押してからワンテンポ遅れて動く感じ。

音的には結構さっぱりしています。

 

特に良いと思ったのがラジオ部分、AMは籠もっておりオマケ程度ですがFMに関しては結構聞きやすく感度も高いのです。

バンド選択ボタンを長押しし「Auto」表示を出してから「決定」ボタンを押し自動プリセットさせるのはいつものソニーですね。

 

そういえば、この機種が発売されたころソニーCFD-E501を使っており妙に欲しかったんですよね。あれに比べればよっぽどデザインは現代風ですし。

 

ガチャメカCDラジカセ CFD-S05→CFD-S50(→CFD-S70)

CDラジオ ZS-E10→ZS-S40

ロジックメカCDラジカセ CFD-E501→CFD-S401

の順に現代風デザインに変わっていったわけですが、あの当時はCFD-S401が出ておらず仕方なくE501を買った覚えがあります。時計機能が欲しかったのとカセットならロジックメカが良かったから()

調べていると、未だにCFD-S401は生産しているのですね。それもカラーバリエーションが4色もありかなり力が入っています。良いなあ。

 

そういえば、ロジックメカCDラジカセの源流はCSD-EL200というアイワの機種なのですよね。それがソニーによる買収で合流していったという。

アイワCSD-EL200→CSD-EL201→ソニーCFD-E500TV→CFD-E501→CFD-S401という系譜です。メカこそ汎用のロジックメカですが、未だラインナップしてるのは良いなあと。

 

閑話休題、ZS-S40、前世代のZS-E10に比べるとデザインは相当良くなったもののE10が実売3000円ほどだったことを思うと、6000円代中盤というのはさすがに値上がりすぎでは...まぁ今となっては数が出ないわけで現行品であるだけ有り難いのかな。

パナソニックに関してはデザイン変更をせず早々に閉じてしまい今はラジカセ、CDラジカセともになくCDラジオも旧世代的なデザインのものがないことを思うと...ね。

 

どうしようかな、この機体...そろそろCFD-S401にも巡り合ってみたい()

パイロットスーパー100V

最近万年筆の話題ばかりですね(毎回そう書いている気がする

いっそ文房具ブログに転換しようかしら?

 

さて、今回はタイトル通りパイロットスーパー100Vについての話題

最近、メルカリを見ているとペン先だけがもぎ取られた万年筆の大量セットなるものが出品されているんですよね。

 

金の安かった昔は普及機であっても金ペンが普通でしたが、今となっては愛好家も高級機は興味があっても普及機は興味がない、中古は価格がすなわち需要に左右されますから普及機は捨て値、その価格の合間を狙ってペン先だけもぎ取って金として売ってしまおう、そんな魂胆の人間がいるのです。

 

特にパイロットエリートの古いモデルやパイロットスーパー、パイロットに限らずその頃の国産品プラチナ、セーラーなんかも狙われがちなようですねえ。

 

まぁ、相当な本数が生産され、今となっては使う人間もいないとなると致し方ないのかもしれませんが、失われたものは戻ってこないと考えるといたたまれない気はします。

 

うーん、資本主義だなあ。

金の重さを測り軽く試算してみると、本数を稼げば儲かりそうですが...事業的にやられてしまえば個体数が激減するのは目に見えてるわけでいい気はしない。

 

このパイロットスーパーも例によらず激安で投げ売られていたので買ってしまったものです。例のペン先だけもぎ取る購入者に買われたらなあ...と。

 

nikora060.hatenablog.com

以前、なんとなくパイロットスーパー60を手に入れ、その書き味が気に入っていたのでちょうどいいかなーというわけです。

 

あれからずいぶん調べ、パイロットスーパーの系譜は掴めてきました。

60(600円)...吸入式 鉄ペン

80(800円)...吸入式 金ペン

100V(1000円)...カートリッジ式 金ペン

同時期のラインナップでいうと、こんな感じらしいです。

100Vは80をカートリッジ式にした機種で80と首軸、槍を除いた各部品は共用のようですね。

 

汚れがひどかったため分解し超音波洗浄

 

Lが長い昔のパイロットのロゴが良いですねえ。

 

61年12月製でした。一番良い時代だなあ...

 

パイロットスーパー後期から付いたと言われるスポンジ

劣化で乾パンみたいになっていました。

スポンジを挟んだ真下にペン芯が通り、スポンジを通してやり取りされるようです。

 

仕方ないので手元にあったテキトウな綿を。

 

セールスポイントであったインクの見える透明窓です。

槍が一体になっており、ペン芯とカートリッジの間でダムのような役割を果たします。

 

首軸に取り付けるとこんな感じ。

カートリッジとの距離があるためにコンバーターのCON-40を取り付けてみると吸入量の関係でCON-40本体までインクが届かなかったりします。CON-70は取り付けられないし...

 

インクの見える透明窓とペン芯との間にシリコン製のパッキンがあります。

驚いたことに劣化しておらず未だ弾力を保っているという...

シリコンは劣化しにくいと聞きますがここまでとは。61年前ですよ!?

 

カートリッジを刺すと勢いで一気に透明窓が満たされます。すごい。

パイロットのカートリッジがやたら口がでかい理由そんなところだったりして。

ちなみに現行のシングルスペアーカートリッジです。

 

ゆくゆくはダブルスペアーなパイロットにも手を出して見たいんですよね~。

 

おー、インクが見えますね。

 

拾い画です。スーパーとは一言も書いていないのですよね。

1964年の初頭のものでしょうか。もうすでに(1962年に)エリートは出ていましたからあえてスーパーとは書かなかったのですかね。

ちょうどこのころ、パイロットY(ヤング)L(レディ)と言った機種があり、E(エリート)V(バリアブル?)と英字一文字で揃えたかったのかもしれません。

 

ブルーブラックにて。洗浄していても大量にブルーブラックが溢れてきたので当時らしく。だいぶ細字ですね。鉄ペンの60君は中字といった印象でしたから意外。

 

この頃の万年筆は今の74や743に比べてニブは小さくとも柔らかい印象があります。

 

すでに外れたタガが更に...いっそパイロットスーパー揃えるか...?

...っそれとも53Rなんか逝ってしまうのもありかもしれませんねえ。

 

英雄616万年筆(偽物) 一ヶ月の使用感

最近万年筆の話ばかりですね。

 

先日のパイロットカスタム743の記事に「昨年11月以来、英雄616をメインに使用していた4月の一ヶ月を除いて」と書きましたが、一ヶ月だけ英雄616をメインに使っていました。

 

ある日、松屋で牛丼を食べつつなんとなくアリエクを覗いてみたところ、いつものパチもん(ブランドこそコピーしていないが)ラミーサファリに並び英雄万年筆がありました。

驚異の200円台で3本。私が注文したときは282円でした。

中国に魂売るのは気が引けますが、もう8年くらい前からやってきたことだし今更なと。

アリエク使っている方ならわかると思いますが、中国郵政の船便は購入(発送)してから一ヶ月ほど到着に時間がかかるので到着するころにはすっかり興味を無くし使い始めたのは到着後二週間後でしたね。

 

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黒軸、赤軸、緑軸

パーカー51のコピー...というより英雄という製造会社自体中国にあったパーカー社の製造工場の接収が元になっているようで、カメラで言うならコンタックスIIに対するキエフですかね?

それにしても、いくら材料工作が劣っているとは言えパーカー51の定価と比べると...ね

 

個人的にはパーカーなら45がほしいんですよね。当時のようにプッシュ式コンバーターで。

パーカー45のコピーはないようです。51は接収でセーフだったとして特許関連かな?

 

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コピー元となったパーカー51のエアロフィラーと同等のよう。

中に一本パイプが入っており吸いやすいのですね。

刻印等はないアルミ製(プッシュボタンは別素材)です。

 

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軸の質はこんな感じ。アクリルではないですね。ポリカボネートっぽいですね。

さすがにこの値段でアクリルなわけないかあ。相応に傷は付きやすいですが一方で衝撃には強くアクリルよりも実用面では向いているかも?

 

キャップはステンレスで思いの外質感はいい感じ。

 

難点としてはすごくペンポイントが削れやすいことがありますね。

まだインクを入れていない黒軸のペンポイント

 

一ヶ月使用した緑軸のペンポイント

もちろんヤスリには掛けておらずふつーに使っていただけですがこれほどすり減るとは。たぶんイリジウム使ってないんじゃないかな?

 

話によればモース硬度5.5ほどのチタンが使用されているらしいですね。ホントかな?

 

まぁ、癖は吸収しやすいですね。

 

あと、ボタ落ちが激しい難点があります。

ペン芯の性能がよくないのですかね?

ボトルインキから吸入後2滴落とす癖を付ければいくらか良くなりますが、やはり降ると出てきますね。

 

ja.wikipedia.org

Wikipedia「英雄」ページ内に「万年筆戦争」という記事が。

「三百五十円の『英雄』が私たちの編集部を席巻している。一週間前に登場した『英雄』はペリカンシェーファーやもろもろの国産品を駆逐してしまった。『英雄』は外貌はアメリカ製パーカーと百%類似しているのだ。違いといえば『HERO』の刻印だけ。そして書き味たるや、滑らかさ、たわみ、ペン先のまろやかな感触、すべて真正パーカーに優るとも劣らぬことを一人残らずとなえている。宣伝めくが、質においても三百五十円のしろものではない。私たちの半数以上は『英雄』を使い始めている」

1966年から日本への輸入が始まったそうですが、当時の価格は350円だったらしい。

日本の当時の物価で考えるとおおよそ5~10倍ほど、3000円ほどですかね。

為替なんかも関わってくるのでなんとも。

 

たしかに自慢したくなるのはわかりますね。使っている間にも数人の人にネタとして紹介してますから笑

安い!すごい!でメインの万年筆をおいて使いはするもののそのうち飽き戻るんでしょうな。私も一ヶ月で戻りました。

 

英雄万年筆と同じ品質の製品は、国産では小売り価格1000円以上つけなければならないほどコストがかった。これについて当時のセーラー万年筆の阪田正三社長は「中国製のペンは減りが早く、また中国は人件費が安いうえ外貨獲得のため採算を度外視している」と述べていた。

「ペンは減りが早く」はたしか、ですね。うん...

 

パイロットカスタム743(M)

久々の万年筆の話題

 

昨年11月以来、英雄616をメインに使用していた4月の一ヶ月を除いて概ねパイロット カスタム74細軟字を使ってきましたが、今になって上位機種であるカスタム743が気になってきました。

 

パイロットカスタム74シリーズは

カスタム74...定価1万2千円 1985年のカスタム67の後継として1992年発売 14k 5号ニブ

カスタム742...定価2万円 1993年発売 14k 10号ニブ

カスタム743...定価3万円 1993年発売 14k 15号ニブ

 

あとは限定品の745、748なんてのもありますが基本的にはこのような商品構成になっています。

やはり74を手にしてしまうと、その上の742 743も気になってしまうのが人間の性分ですね。実はというと一本目を1月にはすでに入手していたのですが、あまりに節操がないため封印していたのでした(何を今更)

 

上がパイロットカスタム743、下がパイロットカスタム74となります。

 

やはり74の5号に対して15号ニブを採用しているだけあり大きいですね。

74のニブを見慣れているとその大きさには驚きます。

 

胴軸の長さもいくらか長くなり、また径もいくらか太くなりました。

数字にすると大したことのない差ですが持ってみるとやはり743の方が安心感がありますね。

 

今回は中字を購入しました。

実は細字の743も所有して(程なくして売却)おりましたが、キャラ被りが著しいため売却、しかしあの安定感が恋しくなりまた買い戻した感じですね。ほんと節操ない。

 

太く(21g 24g)長く(143mm 146mm)なったため手に負荷がかかるかと思いきや、案外そうでもなく写真のようにキャップをポストして筆記するとバランスが良く意外と疲れないのです。

その点では74より優れており、74の場合は2時間ほど使っているとキャップの重量比重が大きいためかリアヘビーになってしまいペン先が浮く感覚があるというか妙な疲れが残ってしまうのですね。それがないのは優れています。

 

ただペン先の大きさ、胴軸のサイズの違い、キャップの意匠の違いのみで胴軸自体の材質はアクリルで変わらず差額2万円の差があるかといえば微妙かな?<例によらず中古で買っているのでそれほどの差はない

 

そういえば妙な仕様上の違いもあり、74ではキャップのネジピッチと首軸のネジピッチがほぼ同じであるのに対し、743では首軸のネジピッチのほうが細くなっています。

 

これの何が優れているかといえば、74ではキャップを外すときに首軸まで緩んでしまうことが多々ありストレスが溜まっていたところ743ではほぼ無くなったのです。

 

というか、普通743のように変えて設計するものだと思うんだけど違うのかね...?

国産他社はそれぞれ変えて設計されていました。

 

先程意匠の違いと書きましたが、74の方が飾りリングが心なしか豪華になっています。

 

そして飾りリングにスミ入れが入っているのが違いですかね?

CUSTOMのOがクリップの真下に来るよう設計されているらしい。なぜ...?

 

74と743の違いをどう形容するか悩みましたが、カメラで言えば50mmレンズにおける、f/2、f/1.4、f/1.2の違いなのかもしれません。

 

50mm f/2をすでに持っていて暗所で撮らなければf/1.2をあえて買うほどではない、しかし初めて買うならば予算次第で明るいものを買うべき、という関係に似ています。

 

個人的には50mmだとf/1.4が好みですが、そうなるとカスタム742が気になってきますね(本当に節操ない

 

国産 1万円代万年筆を並べてみました。

左からパイロットカスタム74、セーラープロフィットスタンダード、プラチナ#3776センチュリーとなりますが、この中で価格による棲み分けが顕著なのはセーラーでしょうね。

 

以前所有していたセーラープロフィット21(FとMでした)ですが、セーラープロフィットスタンダードと比べるとセーラープロフィットスタンダードの方がよほど細く短くコンパクトに作られているのです。

パイロットで言えばカスタム74と743とそれぞれ適応しますが、これほど棲み分けはしっかりしていません。

 

カスタム743で検索してみても74 742 743の比較サイトばかり出てくるあたり、棲み分けが曖昧なために悩ませやすいのかなーなんて思っています。

 

こうなると742が気になってきますね。ある意味74というホームグラウンドがあるからこそ節操なく買えるのかもしれない...なんて思い始めてきました。