兄がミラーレスカメラにマウントアダプターでFDレンズを取り付けるのにハマっているようで色々とレンズを集めて楽しんでいるよう。
彼は模型製作や昆虫採集が趣味でその撮影の為にマクロレンズやエクステンションチューブを試してはみたもののイマイチしっくりこないようで。
そんなこんなで次は何が良いかと話していたらベローズという手を思いつきました。
マクロレンズやエクステンションチューブは現在でも残り続けているアクセサリーですがベローズは…時代の徒花となったものですね。
昔のカメラのカタログを捲ってみると一眼レフの登場によって広がった35mmカメラの代表的な新たな撮影用途だったようで各社から盛んに発売されていたようです。
1960年代、この分野で一番進んでいたのはミノルタでした。
各社がベローズ使用時の完全自動絞りを実現しない中SR用のベローズは完全自動絞りに対応していたわけで、一眼レフの完全自動絞り化という面では遅れを取っていた(1961 - SR-3)だけに意外ですよね。
兎角、今回(兄が)購入したキヤノンFLベローズも1960年代後半の品物ですから完全自動絞りには対応しないわけでレリーズを押せば絞り込まれるものの自動で開放には復帰しない半自動絞りとなっています。
キヤノン ベローズ FL
元箱付きでした。
箱にはCanon INC.と記載されています。
斯くてキヤノンカメラ㈱からキヤノン㈱への社名変更後~FD発売まで、1969~1971年頃の製造ですかね。50年近く前のモノです。
完全には新品では無いようですが、ほぼ使われていなかったのでしょうか。
翻ってほぼ新品と言っても手放しに喜ぶことも出来ないわけで、それだけ古く余り使われていないとなるとベローズの蛇腹劣化も心配されるものです。
本体です。顕微鏡のような結晶塗装が美しい。
今では結晶塗装などあまり使われない印象がありますが、何故でしょう。
キヤノン㈱時代のキヤノンFTとキヤノンブースターで揃えてみました。
撮った後にレンズはキヤノンカメラ㈱時代だと気づき落胆。相変わらずツメが甘い。
ベローズを使う際にはファインダー内が大変暗くなる上、光量状況によってはメーターも測光範囲外になることもあるのでキヤノンブースターを使うと良さげです。
今の時代そんなんで撮る人はいないって?おだまりっ!
フィルムを入れずに撮影ごっこ。
まぁ、ピントの合わせるのが難しいこと難しいこと。
使っていて気づきましたが
どうでもいい話、キヤノンFT後期型になると測光スイッチと絞り込みスイッチが一体だったものから、測光スイッチが削除されているのよね。
— にこら (@nikora060) 2020年4月28日
配線が少なくなることからコストダウンではないかと踏んでいたが半自動絞りと同様の動作をするベローズでの操作性改善かもしれないね。おそらくそう。
このFTはシリアル61万番なのでバリバリ後期型なわけですが、割と使いやすい。
何度も着脱していると、「手が三本必要だ」と評判の悪かったブリーチロックマウントの有り難みが身にしみてわかります。
そもそも一眼レフ初期の用途は望遠や接写の特殊用途だったわけでキヤノンが敢えてブリーチロックマウントを採用した理由も分かる気がします。
今回撮影はしなかったので作例をあげることはしませんが、こうして当時のアクセサリーを実際に使ってみると一見意図のわからない仕様もわかることがありますね。
そんなところです。では。