1962年発売、マミヤルビースタンダードです。
リア友がハードオフで発見したこの個体を使ってみたいとのことで修理を引き受けました。過去にもマミヤルビーは修理したことあるのであんま抵抗感はないです。
記載するまでもないですがシャッター不動です。
マミヤはコパルSV搭載機はだいたい同じようなつくり。。。というか外観のイメージが違う機種でもシャシー自体は共用です。よく出来てます。
定価17800円、ケース1700円でした。
「花形カメラ」のくせして広告の隅に追いやられています()
もともとはマミヤルビーとして1959年に発売されたものでしたが、1961年にキヤノネットが発売、搭載レンズを世田谷光機のセコール48mm F1.9から日東光学のコミナー48mm F2.0に仕様変更、値下げして販売されました。
この定価17800円、ケース1700円という価格は思いっきりキヤノネットを意識した価格で、キヤノネットは現金正価18800円、速写ケース1700円でした。ケースの価格が同じ...
きちんとした裏付けは取れていないのですが、当時マミヤはキヤノンの実質上傘下だったとかなかったとか。キヤノン キヤノネックスというレンズシャッター一眼レフはマミヤ製であったことはあまりにも有名ですね。
ちなみにマミヤは当時ニコン(日本光学)にも二コレックスFという一眼レフを供給していました。もうめちゃくちゃです。
まぁ、コシナのキヤノンT60、ニコンFM10、オリンパスOM2000兄弟に比べたら...
受け取ったときの状態
指標がありえへん位置になっています。嫌な予感しかないですね。
マミヤ35ルビーで面白いのがこの露出計伝達機構
シャッタースピード環、絞り環の構造がライトバリューシャッターのようになっているのですが、ライトバリューシャッターでいうライトバリューの値のみ伝達されます(当たり前
ネジで前後に動いて本体側のピンで追針露出計の針を動かすんですね。
ヘリコイドでいうなら直進キーが動いてASAダイヤルも連動します。
そのためにASA設定ダイヤルが正面にあるのです。
露出計連動棒がカシメてあるために絶対に表から外してはいけないのです。
どっちしろユニット外さないとシャッタースピード環が取り付けられないですしね。
セルフコッキングレバーの構造、下の画像のシャッタースピード環、絞り環ユニット組付けがまるでキヤノネットなんですよね。
あれもコパルSV搭載機という共通点はあるもののコニカSシリーズはシャッターまるごと90度回転しチャージレバーが下部につくつくりですし必ずしも同じ構造にする必要はなかったと思うんですが。不思議。先述のキヤノンの一件が関係していたりして。
なんかおかしい。
絞り連動のレバーが折れてました。
リベット止めのリベットの部分は残ってましたがスカスカだったので(折れるくらいの力がかかったんだからそりゃそうだ)色々手立てを考え結果2液混合のエポキシ接着剤で固定。まぁ強度は問題ないでしょう。
ライトバリュー的シャッターは油を交換するとスムーズに作動します。
シャッター不動の原因はいつもの羽根油です。洗浄~
過去に無理して絞りを動かしたようで端のほうが破れています。
F2でレンズの口径的に問題のなさそうな箇所なのでそのままに。
洗浄しました。
ただ、セルフタイマーユニットが動かん...
ワンウェイクラッチにあたる板バネの部品が変形していました。
上が正常なコパルSVの板バネ、下がこの個体。扇形歯車に接触するほどの変形。
羽根油のシャッター羽根癒着でシャッター並びにセルフタイマーが作動しない→無理やりレバーを戻そうとした→破損
という流れでしょうね。短絡的な発想は何にしても絶対にいけませんよね。
部品取りからセルフタイマーを拝借...
組み立て...コパルSVのこの姿を見ると実家に戻ったかのような安心感がありますね。
ただこの個体、あまり精度よくないです。
調整しようがないのでどうしようかと。
珍しく露出計も動いてました。
まぁ年代なり
距離計はコニカでおなじみのレンズ移動式の凹メニスカスレンズ移動型の距離計です。この頃になると特許も切れていたのかな...?
ブライトフレームも
ブライトフレーム側の凸レンズ
組み立てました。
とりま試写してお返ししようと思います。
コミナーレンズはいつかのWalz Envoy 35で非常に良い思い出があるのでどのような写りをするか楽しみではあります。セコールに対して廉価だったとしてもそこは日東光学ですしね。
予感あたった。2.8で撮った記憶
— にこら (@nikora060) 2021年1月30日
Walz Envoy 35
S Kominar 4.8cm F1.9#フィルム #フィルムカメラ #photograph pic.twitter.com/TFsNEAfkEz
素晴らしい写り。ゾナータイプだからとかつまらないこと言わないで。
このマミヤセコールは4群6枚のダブルガウス型なので平凡な写りしそうなものですがね。
いや、平凡というのは偉大ですよ。偉大なる平凡。