にこらのブログ(カメラ修理館)

クラシックカメラを修理、収集している学生のブログです。

モンブラン マイスターシュテュック146

ひさしぶりの万年筆ネタです。

パイロットカスタム743購入から半年、ある本の一文に触発され中字を買ったこともありその太さは気に入っていたものの却って太く扱いにくく辟易としていました。

そのせいか、次第に一番初めに購入した(万年筆沼に落ちた元凶の)パイロットカクノをカートリッジ運用するほどに万年筆に対する興味も薄れ...

 

カートリッジ二箱(24本)使い切ったころに、そろそろ吸入式にもどろうと次に購入する万年筆を物色していたのでした。...散財する口実であるからカクノにコンバーターつければいいだなんて言ってはいけない

 

(やはり、原点に立ち返って、パイロットカスタム74の細字を新品で買ってもいいかなあ、金先物価格も上昇しているしそろそろ値上げされてもおかしくないしなあ)

なんて考えていましたが、カスタム74を新品で購入するならもうちょい追加し742でも良いんじゃないかと迷い始め...結果として中古のモンブランマイスターシュテュック146を購入しました。

 

な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 

頭がどうにかなりそうだった…

 

nikora060.hatenablog.com

 

さすがオリジナルなだけあり、全体のまとまりが美しいですね。

国産の両用式では単に飾りリングとして付いているだけにとどまる金の装飾は、吸入器の装飾となり機能的な意味を持ちます。インキ止め式万年筆では内部の蓋として機能する部分ですね。

単なる飾りリングの国産より長く取られており、そのシャープさが美しく見える理由なのかもしれませんね。

 

キャップをポストした状態。156mmほど。

筆記時にはキャップをポストしたほうがバランスが取れ書きやすいと思います。

 

パイロットカスタム743との比較。

カスタム743はモンブランならば149にあたる機種でしょうから、比較はナンセンスかもしれませんが、146よりひとまわり...いや0.5まわりほど大きいように感じます。

 

アイデンティティなホワイトスター

 

モンブラン山の標高...いや、間違えました、富士山の標高。

プラチナ#3776センチュリーもアイデンティティとして山の標高をニブに刻印していますが、モンブランに対するコンプレックスがにじみ出ているようであまり好きになれないのですよね。書き味は気に入っているのですが、独創性が足りないといいますか。

モンブラン山よりも低い富士山の標高を刻印するあたり、一種謙遜に近いものがあるのか...それとも風刺の意味合いを込めているのか。

 

モンブラン山の標高4810が刻印されています。

イカラーニブを選びました。モンブラン146は50年代バイカラーに始まり、60年代一旦生産が止まったあと、70年代の再生産から単色になり、90年代から再びバイカラーに戻るという系譜を辿っているようですが、単色のものは色気がなくつまらないようにかんじるのですよね。いいや、これまでの国産はすべて単色でしたが。

 

同じ西ドイツ製ライカIIIfと並べました。

50年代のモンブラン146も木になりますが、あまりに高価で...

 

イカも戦後、敗戦処理によりパテントが無効となり国産コピーライカが数多く誕生しましたが(戦前にもパテント無視によるニッポンなどはあるが例外)結局のところ機能的、精度的に優れたカメラは誕生しても形態の美しさ、機能のまとまりではライカを超える国産コピーライカは誕生しなかったように思います(主観)

 

昭和29年のライカM3以後も、国産メーカーは躍起になり機能向上に挑みますが機能的、精度的に優れたカメラは誕生しても形態の美しさではライカを超えられませんでしたね。

モンブラン146とM型ライカ、ともに50年代に誕生し、60年代に一旦落ち目を見る、しかし未だに基本設計はそのまま生産されつづけているという面では非常に共通点がありますね。徐々に機能向上し道具としての利便性向上を目指しつづける国産に対し、初めから機能と形態の兼ね合いで完成形を作るドイツ製、国民性の違いなんでしょうなあ。

 

中古を購入し...と書きましたが、実際届いてみると吸入機構が固着しているジャンク品でした。これから使っていくにあたって必ず遭遇する問題でしょうから返品はせず、分解清掃。掃除したほうが気持ちいですしねえ。

普段、国産万年筆をみているとニブまでカニ目で固定されているモンブランが異様に思えてきますが、思えばなぜ国産ははめ込みなんでしょうね。

 

前使用者はミステリーブラックをメインに使っていたよう。

わたしのモンブランはこの146が初めてではなく、220なんてのも所有していたことがありますがその220もミステリーブラックでしたね。ブルーブラックではないのね。

 

ピストン部分。

 

吸入器はカメラでいう直進ヘリコイドのような構造になっています。

グリスを交換し組み立てます。

インキ窓もしっかり見えるようになりました。やったぜ。

 

インキはせっかくなので純正品、パイロットブルーブラックに色合いの近いロイヤルブルーを購入しました。若干赤みがかっているのがお気に入り。

それにしても、3000円なら、パイロットブルーブラックなら350ml二本買えてしまいますね。比較対象がナンセンスとは思いますが、12倍かぁ...。

切れたらこっそり350ml購入し補充しようかしら。

 

では。